「ほんでな、イザナギさんは、『可愛い妻をひとりの子に代えてまうなんて、ほんまに信じられへん…』って泣き崩れてしもたんや。」
「うわぁ、悲しい話やなぁ…。それで?」
「その涙な、地面に落ちた時、そこから神様が現れたんやで。その神様の名前は泣沢女(なきさわめ)言うて、香具山(かぐやま)のふもとにおるんや。」
「涙から神様が出てくるなんて…これも神秘的やな!」
「そやろ。ほんでな、イザナミさんが亡くなった後、彼女は出雲(いずも)の国と伯耆(ほうき)の国の境目にある比婆山(ひばのやま)に葬られたんや。」
「お葬式までしてあげたんやね。」
「そやけどな、イザナギさんは悲しみを怒りに変えて、腰に佩いとった十拳剣(とつかのつるぎ)を抜いて、カグツチの首をズバッと斬ってしもたんや。」
タケシ:「えぇっ!?自分の子を斬ってしもたん!?なんで…?」
「それはな、カグツチが火の神やから、イザナミさんを焼いてしまう原因やったからや。」
「それで怒って斬ったんやな…。」
「そおや。ほんで、その剣から飛び散った血が、神聖な岩に当たってな、新しい神が次々と生まれたんや。まずは石折(いわさく)と根折(ねさく)、そして石筒之男(いわつつのお)っていう三神や。」
「血からも神様が出てくるんや…すごいなぁ。」
「それだけやないで!剣の刃からも神が生まれたんや。甕速日(みかはやひ)、樋速日(ひはやひ)、そして武御雷之男(たけみかづちのお)いうて、これら三神も生まれたんや。」
タケシ:「名前がめっちゃかっこええな!それで、まだ他におるん?」
「まだまだおるでぇ!剣の柄に溜まった血からは、闇淤加美(くらおかみ)と闇御津羽(くらみつは)が生まれたんや。これで剣から生まれた神々が八神(やがみ)や。」
「八神も生まれるなんて、その剣ってほんまにすごいなぁ。」
「ほんでな、カグツチの頭からも神が生まれてん。それが正鹿山津見(まさかやまつみ)で、他にも胸、腹、手足、体の各部分からも、いろんな山の神々が生まれてんねん。」
「カグツチからも神様が生まれるんやな。ほんで、イザナギさんが使った剣の名前ってなんやったん?」
「その剣の名前な、天之尾羽張(あめのおはばり)言うんや。別の名を伊都之尾羽張(いつのおはばり)ともいうねん。」
「めっちゃ強そうな名前やな…。」
「そやなぁ。イザナギさんがその剣でカグツチを討ったことで、たくさんの神々が生まれてんねん。この話、ほんまにすごいやろ?」
「うん、すごすぎてちょっと頭ぐちゃぐちゃなってきたけど、神話っておもろいなぁ!」
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