⑪大気都比売神

「さて、スサノオさんは高天原(たかまのはら)から追放されて、次に食べ物を求めて大気都比売(おおげつひめ)っちゅう神様んとこ行ったんや。」

「食べ物って、何かお願いしたん?」

「そうやねん。スサノオさんは『腹減った!なんか食わせてくれ!』ってお願いしたんや。ほんでな、大気都比売さんはめっちゃ器用やってん。鼻とか口とかお尻からまで食べ物取り出して、それを調理してスサノオさんに差し出したんや。」

「ええっ!? 鼻とか口とか…尻!? それ、スサノオさんびっくりしたんちゃう?」

「びっくりどころか、スサノオさんはその光景見て『穢れ(けがれ)たもん出して俺に食わすんか!』って勘違いして、怒り狂うて大気都比売さんを殺してもうたんや…。」

「えぇ!? そんな…食べ物くれたのに…。」

「そやねん。ほんまに悲しい話や。大気都比売さんは、食物の神様やから、身体から食べ物を出してくれたのにスサノオさんはそれを穢れやと思うてしまってんやな。」

「それで、大気都比売さんはどうなったん?」

「大気都比売さんが亡くなって、その身体からいろんな穀物の種が生まれたんやで。例えば、頭からは蚕(かいこ)が生まれて、目からは稲の種が出てきたり、耳からは粟、鼻からは小豆、陰部からは麦が、尻からは大豆が生まれたんや。」

「すごいな…大気都比売さんの身体から五穀の種が生まれたんか。」

「そうや。それで神産巣日(かむむすひ)の御母神(みおやがみ)っちゅう神様が、その種を取り集めて、五穀の種としたんや。それで、今の世に五穀が広まったんやで。」

「そうやったんや。五穀ってめっちゃ大事やもんなぁ。そんな由来があったとは知らんかったわ。」

「せやろ。悲しい話やけど、この出来事から今の米とか麦とかが出来たんやと思うたらありがたい話やね。」

「うん、おばあちゃん、また教えてや!」

「もちろんやで。次はまた別の神様の話しような!」

大気都比売神の物語は、五穀の由来を語る大切な神話です。須佐之男の誤解から大気都比売神が命を落としましたが、その犠牲によって稲や大豆、小豆など、私たちが日々食する穀物が誕生しました。この神話からも、自然や食物に対する感謝の心を学ぶことができます。

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この記事を書いた人

- 名前: トシ
- 年齢: 1965生まれ
- 職業: フリーランス
- 出身地: 大阪
-「神社巡り400社以上達成、御朱印収集と旅の楽しさをブログで発信」

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