㉙木花之佐久夜毘売

「ばあちゃん、木花之佐久夜毘売(このはなさくやびめ)って、どんな人やったん?」

「木花之佐久夜毘売はな、天孫降臨した天津日高日子番能邇邇芸(あまつひこひこほのににぎ)が出会った、めっちゃ美しい少女や。笠沙の御崎(かささのみさき)で初めて見つけて、そら一目惚れやったんや。」

「そらええなぁ。で、どうなったん?」

「邇邇芸ににぎはな、木花之佐久夜毘売に『お前さん、誰の娘や?』って聞いたんや。そしたら彼女は、大山津見(おおやまつみ)っていう山の神の娘で、木花之佐久夜毘売って名乗ったんや。」

「ふーん。それで、木花之佐久夜毘売には姉がいたんやろ?」

「そうやねん。姉の石長比売(いわながひめ)っていうんやけど、これがまたひどく醜かったんや。邇邇芸ににぎは、木花之佐久夜毘売だけを選んで結婚することにして、姉の石長比売は送り返してしもたんや。」

「それってちょっとひどない?石長比売、かわいそうやなぁ。」

「ほんまにな。でもな、石長比売を選んどったら、天つ神の御子らは岩みたいに不動で、長命になったらしいんや。でも木花之佐久夜毘売を選んだから、御子の寿命は木の花みたいに儚くなったんやで。」

「そんなことがあったんや…。でも、そのあと木花之佐久夜毘売はどうしたん?」

「木花之佐久夜毘売はな、邇邇芸ににぎと結ばれてすぐに妊娠したんやけど、邇邇芸ににぎが疑ったんや。『ほんまに俺の子なんか?国つ神の子ちゃうか?』ってな。」

「それはひどいな!木花之佐久夜毘売めっちゃ怒るやろ?」

「そやろ?木花之佐久夜毘売は、火をつけた産殿(うぶや)で、自分の無実を証明するためにお産をしたんや。火の中で無事に生まれたら、それが天つ神の御子である証拠やて言うてな。」

「命懸けでそんな危ないことして、ほんまに無事に生まれたん?」

「そうやねん。無事に三柱(みはしら)の御子が生まれたんや。最初の子が火照命(ほでりのみこと)で、次が火須勢理命(ほすせりのみこと)、そして最後の子が火遠理命(ほおりのみこと)や。この子らが日本の神話において大事な役割を果たすんやで。」

「へぇ~、そんな話があったんやなぁ。面白いわ!」

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

- 名前: トシ
- 年齢: 1965生まれ
- 職業: フリーランス
- 出身地: 大阪
-「神社巡り400社以上達成、御朱印収集と旅の楽しさをブログで発信」

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次