「ばあちゃん、海幸彦と山幸彦ってどんな話やったん?」
「ほな、話したるわな。火照命(ほでりのみこと)は海幸彦(うみさちひこ)言うて、海で魚を取るんが得意やったんや。逆に弟の火遠理命(ほおりのみこと)は山幸彦(やまさちひこ)言うて山で獣を狩るのが得意やったんや。」
「ふーん。海幸彦と山幸彦、なんかええバランスやん。それでどうなったん?」
「せやねんけどな、ある日、山幸彦が『猟具と漁具を交換して使ってみよう』言うて兄に頼んだんや。でも海幸彦は最初は断っとってん。」
「なんで断ったんやろな?そんなに大事な道具やったんかな?」
「たぶんそうなんやろな。でもな、何度も頼まれてついに交換することになったんや。それで山幸彦が海で釣りしてみたんやけど、ぜんっぜん魚が釣れへんねん。しかも、兄の大事な釣針を海に落としてしもたんや!」
「うわー、それはまずいなぁ…。兄ちゃんめっちゃ怒ったやろ?」
「そやねん、海幸彦は『道具を返せ』って責め立ててきてな。山幸彦は困って、兄に謝りながら『釣針をなくしてしもた』って正直に言うたんや。でも兄ちゃんは納得せえへんかったんや。」
「そら怒るやろな。で、どうなったん?」
「山幸彦はなんとか兄を納得させようと、自分の剣を砕いて五百本の釣針を作って償おうとしたんや。でも兄ちゃんはそれでも受け取らんかった。それどころか千本の釣針を作っても、『元の釣針を返してくれ』言うて、ますます要求が厳しくなってきたんや。」
「兄ちゃん、頑固やなぁ…。ほんまに元の釣針が見つかるんかな?」
「そこがこの話の肝やな。山幸彦はどうするか思案にくれて、ついにある方法を思いつくんやけど、それはまた次のお話や。」
「えー、続きが気になるわ!早く教えてや!」
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