須佐之男命の神やらひ
「そやから、須佐之男命は、ほんまに困った神様やったんやで。自分に与えられた国を治めんと長い顎髭が胸まで伸びるくらいずーっと泣いてたんや。」
「ええっ!?なんで泣いてたん?」
「それがな、須佐之男命は、お母さんの伊邪那美命が恋しくて、亡くなった母に会いたいゆうて泣いてたんや。ほんで、泣き続けて山は枯れ、川も海も水が枯れるほどになってしもたんやで。」
「めっちゃ泣き虫やん!そんなことしたらみんな困るんちゃうん?」
「ほんまやな。そやけど、須佐之男命が泣くたびに悪い神々がいっぱい騒ぎ出して、悪霊もわんさか出てきてもうたんや。」
「それで、伊邪那岐命はどうしたん?」
「伊邪那岐命は怒って、『なんで国を治めへんのや!』って須佐之男命に問いただしたんや。ほんなら、須佐之男命は『亡くなった母に会いたいんや…』って泣きながら答えたんや。それ聞いた伊邪那岐命は、『そんなんやったら、この国にはおられへん』って、須佐之男命を追放してしもたんや。」
「うわぁ、追放されてもうたんか…」
「そや、追放されてしもた須佐之男命は、天照大御神に挨拶しに行くゆうて天に昇って行ったんやけどその時、山も川も揺れて国土が震えたんや。それ聞いた天照大御神は『弟が何か悪いこと企んでるんちゃうか…』って疑いだして弓矢を持って待ち構えてたんや。」
「お姉ちゃんに疑われてもうたんか…」
「そやねん。でも、須佐之男命はほんまは邪心なんて無かったんや。ただ母親に会いたいだけやったんやで。それで天照大御神に『なんで泣いてたんや』って聞かれて、『母の国に行きたいだけなんです』って正直に答えたんや。」
「そっか、それで納得してもらえたんかな?」
「そやな、天照大御神もそれで少し安心したけどこの後、まだまだ話は続いていくんやで…」
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