「さて、次は須佐之男(スサノオ)さんやねんけど、彼が天照大神(アマテラスオオミカミ)さんに、自分の心が潔白やって証拠見せたんやって言うたわけや。どうしてかっちゅうたら、誓約(うけひ)で生まれた子が優しい女の子やったから、自分の方が勝ちや言うてな。」
「それでアマテラスさんは、スサノオさんの言い分認めたん?」
「いや、アマテラスさんは大人しい方やけど、スサノオさんは調子乗って、えらいことし始めたんや。アマテラスさんの田んぼの畔(あぜ)を壊したり、水路埋めたり、果ては神殿に糞まき散らしたりや!」
「えぇ!それってめっちゃひどいやん!それでもアマテラスさんは怒らへんかったん?」
「せやねん、アマテラスさんはそれでも『あの糞みたいなんは酒酔うた反吐やろう』とか、『畔壊したんは土地もったいない思うたからやろ』とか、よう我慢したんやけどスサノオさんはますます乱暴になってな。」
「そんなんもう我慢できひんやろ。」
「ほんまやな。とうとう、スサノオさんはアマテラスさんの機織してる神殿の屋根に穴あけて、斑毛の馬の皮を逆さに剝いで投げ込んだんや。それで機織女はビックリして、機織りの道具で自分突いてしまって亡くなったんや。」
「それで、アマテラスさんもさすがに怒ったん?」
「そやねん。それでアマテラスさんは天の岩屋戸(あまのいわやど)っちゅう洞窟に隠れてもうたんや。そしたら、高天原(たかまのはら)も葦原中国(あしはらのなかつくに)も真っ暗なって世界はえらいことになったんやで。」
「えぇっ!太陽が消えたんや!」
「そうやねん。ほんでな、日本中の神様らが集まって、どうしたらええんやろって会議始めたんや。そこで、賢い神様の思金神(おもいかねのかみ)っちゅう神様が策を考え出したんや。」
「その策って何やったん?」
「まずは、常世国(とこよのくに)の鳥を集めて鳴かせたんや。ほんで、天香具山(あまのかぐやま)っちゅう山から鉄とって鏡作ったり、賢木(さかき)を掘り起こしてそれに鏡や玉を飾ったりしてアマテラスさんを誘い出そうとしたんや。」
「そんな作戦があるんやな。ほんでアマテラスさんは出てきはったん?」
「そやねん、天宇受売(あめのうずめ)さんがめっちゃおもしろい踊りして、八百万(やおよろず)の神々が大笑いしたんや。そしたらアマテラスさんも『何でこんなに笑ってんねん』って思うて、そっと岩戸開けて外見たんや。そん時に、天手力男(あめのたぢからお)さんがアマテラスさん引っ張り出したんやで!」
「おぉ!やっと太陽が戻ってきたんやな!」
「そうや。ほんで、世界はまた明るうなったんや。それから、スサノオさんには罰が与えられて、とうとう高天原から追放されてしまうたんやで。」
「スサノオさん、最後はやっぱり追い出されてもうたんやな。でもこれでまた平和な世界になったんやね。」
「そうや、これでまた光が戻って世界は平和になったんや。でもこの話にはまだ続きがあるんやで。また今度聞かせたるわな!」
天照大神が天の岩屋戸に隠れることで世界が暗闇に包まれた神話は、日本神話の中でも特に有名な話です。神々が協力して太陽神を外に引き出すことで再び光を取り戻した物語は、現代でも希望と団結の象徴として語り継がれています。
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