熊野で正気を失った一行を救った神の太刀・布都御魂と、道案内をつとめた八咫烏。吉野の国つ神たちとの出会いを、おばあちゃんと孫の会話でやさしく読み解きます。
🗡️🐦 神の太刀と八咫烏の道案内

「ばあちゃん、神倭伊波礼毘古命が熊野村に着いた時、どんなことがあったん?」



「そうやねん。熊野村に着いた時、大きな熊がちらりと見えたんやけど、その後、姿を消してしまったんや。それで、神倭伊波礼毘古命は急に正気を失って、兵士たちもみんな気を失って倒れてしもたんや。」



「それは怖いなぁ。」



「ほんまに。そこで、熊野の高倉下が一振りの太刀を持って、天つ神の御子が倒れてるところにやって来たんや。そしてその太刀を奉ると、天つ神の御子はすぐに正気を取り戻して起き上がったんや。」



「その太刀には何か特別な力があったんかなぁ?」



「うん、その通りやで。その太刀を受け取ると、熊野の荒ぶる神も自然に切り倒されたんや。そして兵士たちも正気を取り戻して立ち上がったんや。」



「高倉下はその太刀についてどう説明したん?」



「高倉下は、夢で天照大御神と高木の神からお告げを受けたんや。葦原中国が騒然としてるから、建御雷に降りて行くように言われたんやけど、建御雷は太刀で平定する方がええ言うたんや。」



「それで、どんな指示があったん?」



「高木の指示で、天つ神の御子を奥の方に進ませないように言われたんや。荒れた神がたくさんおるから、八咫烏を遣わして、その烏が先導するように進めと言われたんや。」



「八咫烏って、どういう役割をしてたん?」



「八咫烏は先導して、神倭伊波礼毘古命が進むべき道を示したんや。これで吉野川の川下に着いたんやけど、そこで漁業具を作って魚を取ってる人に出会ったんや。」



「その人は誰やったん?」



「その人は国つ神で、名は贄持之子やったんや。この人は阿陀の鵜飼部の祖先やねんで。」



「他にどんな人に出会ったん?」



「次に尾の生えた人が井戸から出てきたんや。井戸の中は光ってて、その人は井氷鹿と名乗ったんや。この人は吉野首の祖先やで。」



「それから?」



「さらに山に入ると、また尾の生えた人が岩を押し分けて出てきたんや。その人は石押分之子やったんで、天つ神の御子を迎えに来たんや。この人は吉野の国栖の祖先やで。」



「そして、宇陀に進んだん?」



「そうや、山坂を踏み分けて宇陀に進んで、そこを宇陀の穿と呼ぶようになったんや。」
この八咫烏は、現在も熊野本宮大社のシンボルとして大切に祀られています。実際の熊野本宮大社については「熊野本宮大社:歴史と自然が織り成す巡礼の地」で紹介しています。
今日のかみさま
| 名前 | 読み方 | 役割 |
|---|---|---|
| 高倉下 | たかくらじ | 神の太刀を奉り、一行を正気に戻した人物 |
| 八咫烏 | やたがらす | 天つ神の御子を先導した特別な烏 |
| 贄持之子・井氷鹿・石押分之子 | にえもつのこ・いひか・いわおしわくのこ | 吉野で出会った国つ神たち |









コメント