🏹💐 丹塗矢の奇跡と皇后選び

「ばあちゃん、伊波礼毘古が伊須気余理比売と結婚した話、詳しく教えて!」



「その話な、伊波礼毘古が日向におったとき、阿多の小椅君の妹、阿比良比売と結婚して、二人の子どもが生まれたんや。」



「その子どもたちの名前は?」



「多芸志美美と岐須美美やったんやけど、伊波礼毘古はさらに皇后となる少女を探してたんや。」



「で、その少女って誰なん?」



「大久米が言うには、三島の湟咋の娘で、勢夜陀多良比売という美しい少女がいて、その少女が大便をするとき、丹塗りの矢が流れてきて、その少女の陰部を突いたんや。それで、その少女は驚いて慌てふためいたんや。」



「その矢がな、立派な男性に変わって、その少女と結婚したんや。そして生まれた子が富登多多良伊須須岐比売で、後に比売多多良伊須気余理比売と名乗ったんや。」



「その伊須気余理比売がどうやって天皇に選ばれたん?」



「七人の少女が高佐士野で野遊びしてたとき、大久米が伊須気余理比売を見て、天皇に歌で知らせたんや。」



「その歌はこうやったんや。」



「大和の高佐士野を七人行く少女たちよ、その中の誰を妻としようか。」



「伊須気余理比売がどうやって選ばれたん?」



「伊須気余理比売がその少女たちの先頭に立ってたから、天皇はその少女を一番先に立ってると知って、歌でお答えになったんや。」



「ともかくも一番先に立っている、年上の少女を妻としよう。」



「それで、大久米が伊須気余理比売に天皇の言葉を伝えたんやな?」



「そうや。伊須気余理比売はその言葉を聞いて、歌で返事をしたんや。」



「それは、どんな歌やったん?」



「あま鳥、つつ、千鳥、しととのように、どうして目じりに入墨をして、鋭い目をしているのですか。」



「大久米はどう答えたん?」



「大久米は歌でこう答えたんや。」



「お嬢さんにじかにお逢いしたいと思って、私は入墨をしてこんなに鋭い目をしているのです。」



「こうして伊須気余理比売は天皇に『お仕えいたしましょう』と答えたんや。その家は狭井河のほとりにあって、天皇はその家に一夜お休みになったんや。」



「狭井河の名前の由来は?」



「狭井河のほとりには山百合がたくさん生えていて、その山百合の草の名を取って狭井河と名づけられたんや。」



「その後、どうなったん?」



「伊須気余理比売が宮中に参内したとき、天皇が歌ったんや。」



「葦原の中の荒れたきたない小屋に、菅の畳を清らかに敷きつめて、私たちは二人で寝たことだ。」



「それで生まれた子どもたちは?」



「日子八井、神八井耳、神沼河耳の三柱やったんや。」
今日のかみさま
| 名前 | 読み方 | 役割 |
|---|---|---|
| 伊須気余理比売 | いすけよりひめ | 丹塗矢の奇跡で生まれ、天皇の后となった |
| 勢夜陀多良比売 | せやだたらひめ | 伊須気余理比売の母 |
| 神沼河耳命 | かむぬなかわみみのみこと | 伊須気余理比売の子。後の綏靖天皇 |









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