仕えるふりをして罠を仕掛けた兄宇迦斯と、それを密告した弟宇迦斯。自らの罠にかかった兄の最期と「宇陀の血原」の由来を、会話形式でやさしく解説します。
🪤 兄弟の運命を分けた罠

「ばあちゃん、宇陀にいた兄宇迦斯と弟宇迦斯って、どんな人たちやったん?」



「兄宇迦斯と弟宇迦斯、二人とも宇陀におったんやけど、どうやら兄の方はあんまりええ人ちゃうかったみたいやで。」



「どんなことがあったん?」



「まず、八咫烏が二人に尋ねに行ったんや。天つ神の御子が来たんで、仕えますかって聞いたんやけど、兄宇迦斯はそれを待ち受けて、矢で射返して追い返してしもたんや。」



「それでどうなったん?」



「兄宇迦斯は軍勢を集めようとしたけど、集められんかったから、仕えるふりして偽って御殿を作り、その中に押罠を仕掛けて待ち受けたんや。」



「じゃぁ、弟宇迦斯はどうしたん?」



「弟宇迦斯は、兄の計画を知って、伊波礼毘古をお迎えに行ったんや。拝礼して、兄が仕えるふりして殺そうとしてることを全部話したんや。」



「それで、どうなったん?」



「それで、大伴連の道臣と久米直の大久米が、兄宇迦斯を呼び出して、まずは自分が入って仕えるふりをして見せろって言ったんや。そして、太刀を持って矛をしごき、矢をつがえて追い込んだんやけど、兄宇迦斯は自分の仕掛けた押罠に打たれて死んでしまったんや。」



「それで、その土地はどうなったん?」



「その後、兄宇迦斯の死体を引き出して斬り散らしたんや。それでその地を『宇陀の血原』って呼ぶようになったんや。」



「弟宇迦斯はどうしたん?」



「弟宇迦斯は、伊波礼毘古に献上した御馳走をその軍勢に与えたんやで。それから詠んだ歌があるんや。」



「それってどんな歌なん?」



「歌の内容はこんな感じやったんや。『宇陀の高地の狩り場に、鴫罠を張る。私が待っている鴫はかからず、思いもよらない鯨がかかった。古妻がお菜を欲しがったら、肉の少ないところをへぎ取ってやるがよい。後で娶った妻がお菜を欲しがったら、肉の多いところをたくさんへぎ取ってやるがよい。エー、シヤコシヤ。アー、シヤコシヤ。』」



「弟宇迦斯は宇陀水取の祖先なんやで。」
今日のかみさま
| 名前 | 読み方 | 役割 |
|---|---|---|
| 兄宇迦斯 | えうかし | 天つ神の御子を欺こうとし、自分の罠で命を落とした |
| 弟宇迦斯 | おとうかし | 兄の企みを密告し、伊波礼毘古に仕えた |
| 道臣命・大久米命 | みちのおみ・おおくめ | 兄宇迦斯を追い込んだ勇士たち |
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