「ばあちゃん、建御名方(たけみなかた)ってめっちゃ強そうやな!千人引きの大岩を軽々持ち上げてくるなんてすごいやん!」
「ほんまに強い神様やで、建御名方は。自分の国に誰かが内緒話してるのに気ぃついて力競べを挑んできたんや。それで、まず建御雷(たけみかづち)の手を掴んでみようってなったんやけど…。」
「そんでどうなったん?勝ったんか?」
「それがな、建御雷はただの手やなくて、その手をたちまち水柱に変えたり剣の刃に変えたりしてん。建御名方はビックリして怖なってもうてんや。」
「建御雷、ただもんやないなぁ…。」
「そやけど、それで終わりやないねん。今度は建御雷が建御名方の手を掴んだら、葦の若葉を潰すみたいに簡単に握り潰してもうたんや。ほんで建御名方は逃げ出してもうてな、信濃国(しなののくに)の諏訪湖(すわこ)まで追いかけられてしまったんや。」
「逃げても追いかけられるんか…。それで、建御名方はどうなったん?」
「諏訪湖まで追い詰められて、殺されそうになったとき建御名方はついに降参したんや。『もう勘弁してください。この諏訪からは動きませんし、父の大国主(おおくにぬし)にも逆らいません』って約束したんや。」
「建御名方も潔いなぁ。ちゃんと降参して約束守るって言うてるし。」
「そうやねん。それで、建御名方は諏訪に残って、二度と天つ神(あまつかみ)に逆らわへんって誓ったんや。葦原中国(あしはらなかつくに)はこれで完全に天つ神のものになったんやで。」
「うわぁ、めっちゃドラマチックやな。強い神様同士が力競べして最後は降参して平和になるんやな。」
「そうや、神話にはこういう戦いや駆け引きがいっぱいあるんや。でも、それを通じて国が平和に治まっていくっていうのが大事なんやで。」
「なるほどなぁ…。ほんで、建御名方は諏訪でどうしてたん?」
「諏訪では建御名方が神様として祀られてな、今でも諏訪大社があって信仰されてるんや。諏訪湖のほとりでずっと守ってはるんやで。」
「へぇ、建御名方は今でも人々に大事にされてるんやなぁ。なんか、歴史を感じるわ。」
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