こんにちは!今回は、神社めぐりがもっと楽しくなる「日本の神社の種類」についてご紹介します。
「◯◯神宮」「◯◯大社」「◯◯八幡宮」「◯◯稲荷神社」……。神社の名前にはいろいろな呼び方がありますが、実はそれぞれにちゃんと意味があります。
全国の神社はおよそ8万社。文化庁『宗教年鑑』令和7年版によると、2024年末時点で80,570社を数えます(宗教団体として把握されている神社の数で、境内の小さなお社や祠は含みません)。この記事では、そんなたくさんの神社の「種類」を①社号 ②社格 ③ご祭神(系統) ④本殿の建築様式の4つの切り口から、初めての方にもわかりやすく整理しました。

神社の種類は「4つの切り口」で見るとわかりやすい
ひとくちに「神社の種類」といっても、何に注目するかで分け方が変わります。この記事では、次の4つの見方でご紹介します。
- ①社号…名前の最後につく「神宮」「大社」「神社」などの呼び名
- ②社格…「一宮」や、かつての「官幣大社」などの神社の格
- ③ご祭神(系統)…「八幡さま」「お稲荷さん」のように、お祀りしている神さまによる分類
- ④建築様式…神さまがお鎮まりになる本殿の形
①社号で見る神社の種類|神宮・宮・大社・神社・社の違い
神社名の最後につく「神宮」「大社」などの称号を社号(しゃごう)といいます。神社本庁の解説をもとに整理すると、次のとおりです。
| 社号 | どんな神社? | 代表例 |
|---|---|---|
| 神宮(じんぐう) | 天皇や皇室の祖先神をお祀りするなど、皇室と特にゆかりの深い神社 | 明治神宮、平安神宮、橿原神宮、鹿島神宮、香取神宮 |
| 宮(ぐう・みや) | 天皇や皇族をお祀りする神社、または由緒により古くから「宮」と呼ばれてきた神社 | 太宰府天満宮、筥崎宮 |
| 大社(たいしゃ) | もともとは出雲大社を示す社号。現在は広く崇敬を集める神社にも使われる | 出雲大社、春日大社、諏訪大社、伏見稲荷大社 |
| 神社(じんじゃ) | 一般の神社に広く使われる社号 | 伊奈波神社、劔神社、玉置神社 |
| 社(しゃ・やしろ) | 「神社」の略称として使われる社号 | 天河大辨財天社 |


「神宮」とだけ言えば伊勢神宮のこと
一般に「伊勢神宮」と呼ばれている神社の正式名称は、ただの「神宮」です。皇大神宮(内宮)と豊受大神宮(外宮)をはじめ、別宮・摂社・末社・所管社をあわせた125の宮社全体を「神宮」といいます(伊勢神宮公式サイトより)。
戦前、神宮号は国から与えられる(宣下される)称号でした。たとえば鹿児島神宮は、明治7年に「神宮号宣下」を受けたと公式サイトの由緒に記されています。当ブログでご紹介した橿原神宮も、初代・神武天皇をお祀りする「神宮」のひとつです。
霧島神宮(鹿児島県霧島市)も、明治7年に社号を「霧島神宮」と改め、官幣大社に列格したと、鹿児島県の説明板に記されています。

「大社」はもともと出雲大社だけの社号だった
明治から終戦までの社号としては、「大社」は出雲大社だけに許された呼び名でした。戦後になって、広く信仰を集める神社も「大社」を名乗るようになります。
改称の時期は神社ごとにさまざまです。伏見稲荷大社は昭和21年(1946年)に「伏見稲荷大社」として宗教法人の登記を行い、諏訪大社は昭和23年(1948年)に、富士山本宮浅間大社は昭和57年(1982年)に、現在の名前になりました。
ちなみに、平安時代の『延喜式』神名帳にも「大社」「名神大社」という言葉が登場しますが、これは古代の格付け(社格)としての「大社」で、社号の「大社」とは別のものです。

②社格で見る神社の種類|一宮・旧社格・別表神社
神社の「格」を表すものを社格(しゃかく)といいます。現在、国が定めた社格制度はありませんが、神社めぐりでよく目にする言葉を押さえておきましょう。
一宮(一之宮)…旧国でいちばん格式の高い神社
一宮(いちのみや)とは、信濃国・美濃国といった昔の国(旧国)ごとに、最も格式が高いとされた神社のことです。そのあとに二宮、三宮と続く国もあります。

一宮は法律で定められた制度ではありません。平安時代後期ごろ、国司(地方を治める役人)が国内の神社をお参りする際の便宜などから自然に生まれた序列が定着したもの、と考えられています。そのため、時代によって一宮が入れ替わったり、一宮をめぐる争いが起こったりしたこともありました。
当ブログでは、信濃國一之宮の諏訪大社、越前二の宮の劔神社、美濃國三宮の伊奈波神社をご紹介しています。一宮・二宮・三宮をたどって参拝するのも、神社めぐりの楽しみ方のひとつです。
なお、名前に「一宮」とついていても、旧国の一宮とは限りません。たとえば神戸市中央区の一宮神社・二宮神社・三宮神社は、生田神社の「裔神八社(えいしんはっしゃ)」に数えられる神社で、その中での呼び名です。神戸の繁華街「三宮」の地名は、この三宮神社に由来しています(神戸市の資料より)。



旧社格(官幣社・国幣社など)…昭和21年に廃止
明治4年(1871年)、国は全国の神社を格付けする制度を定めました。これを近代社格制度(旧社格)といいます。
- 官社…官幣社・国幣社。それぞれ大社・中社・小社に分かれ、のちに別格官幣社が加わりました
- 諸社…府社・県社・郷社・村社
- 無格社…社格のない神社。終戦時には全国の神社のおよそ半数を占めていました
官幣社には皇室(当初は神祇官)から、国幣社には国庫から、例祭の幣帛(へいはく/神さまへのお供え)が奉られました。この制度は戦後の昭和21年(1946年)に廃止されています。今でも由緒書きなどで「旧官幣大社」「旧県社」といった言葉を見かけるのは、この名残です。


別表神社…神社本庁の人事上の区分
現在、全国の神社の多くは神社本庁に属しています(文化庁『宗教年鑑』令和7年版では、2024年末時点で78,157社)。その神社本庁が、由緒や境内の規模、活動状況などを考慮して指定しているのが別表神社(べっぴょうじんじゃ)です。
別表神社は、宮司などの人事を神社本庁が直接扱う神社のことで、社格ではありません。昭和23年(1948年)に始まり、平成5年(1993年)時点で347社でした(國學院大學『神道事典』より)。なお、伊勢の神宮は神社本庁が「本宗(ほんそう)」と仰ぐ特別な存在で、別表神社には含まれません。
総本社・総本宮…分霊のおおもとの神社
神社の神さまは、分霊(ぶんれい)を迎えることで各地にお祀りされてきました。これを勧請(かんじょう)といいます。その分霊のおおもとになった神社が「総本社」「総本宮」です。
ただし、総本社・総本宮は法律上の地位ではなく、各神社が由緒にもとづいて名乗っている呼び方です。たとえば天神さまでは太宰府天満宮と北野天満宮が、熊野神社では熊野本宮大社と熊野速玉大社が、それぞれ総本宮・総本社を名乗っています。
③ご祭神(系統)で見る神社の種類|八幡・稲荷・天神など
「八幡さま」「お稲荷さん」「天神さま」のように、同じ神さまをお祀りする神社のグループを系統といいます。全国の神社のなかでも、八幡・神明(伊勢)・天神・稲荷の神社は特に多いとされています。
代表的な系統を、ご祭神と総本社(総本宮)とあわせて一覧にしました。
| 系統 | 主なご祭神 | 総本社・総本宮など | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 稲荷 | 宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)ほか | 伏見稲荷大社(京都) | 農業の神から商売繁盛・家の守り神へと信仰が広がる |
| 八幡 | 八幡大神(応神天皇)・比売大神・神功皇后 | 宇佐神宮(大分) | 源氏の氏神として武家の守護神に |
| 神明(伊勢) | 天照大御神(あまてらすおおみかみ) | 神宮(伊勢神宮・三重) | 神明社は神宮の分社。神宮は神社本庁の「本宗」 |
| 天神 | 菅原道真公 | 太宰府天満宮(福岡)・北野天満宮(京都) | 学問の神さま |
| 熊野 | 熊野十二所権現(本宮大社の主祭神は家都美御子大神) | 熊野三山(本宮大社・速玉大社・那智大社) | 熊野本宮大社・熊野速玉大社がそれぞれ総本宮を名乗る |
| 諏訪 | 建御名方神(たけみなかたのかみ)・八坂刀売神 | 諏訪大社(長野) | 風・水・農業・武勇の神 |
| 日吉(山王) | 大己貴神・大山咋神 | 日吉大社(滋賀) | 比叡山延暦寺の守護神 |
| 春日 | 武甕槌命・経津主命・天児屋根命・比売神 | 春日大社(奈良) | 藤原氏の氏神 |
| 浅間 | 木花之佐久夜毘売命(このはなのさくやびめのみこと) | 富士山本宮浅間大社(静岡) | 富士山を御神体とする |
| 宗像 | 宗像三女神 | 宗像大社(福岡) | 海上交通の守り神 |
| 住吉 | 底筒男命・中筒男命・表筒男命・神功皇后 | 住吉大社(大阪) | 航海安全・和歌の神 |
| 金刀比羅 | 大物主神・崇徳天皇 | 金刀比羅宮(香川) | 海の守り神 |
| 祇園(八坂) | 素戔嗚尊(すさのおのみこと) | 八坂神社(京都) | 疫病除け。祇園祭で知られる |
| 白山 | 白山比咩大神(菊理媛尊)・伊弉諾尊・伊弉冉尊 | 白山比咩神社(石川) | 白山信仰の中心 |
| 愛宕 | 伊弉冉尊ほか | 愛宕神社(京都) | 火伏せ(火除け)の神 |
| 秋葉 | 火之迦具土大神(ひのかぐつちのおおかみ) | 秋葉山本宮秋葉神社(静岡) | 火の神をお祀りする |
※ご祭神は代表的なものを記載しています。詳しくは各神社の公式サイトでご確認ください。また、系統ごとの神社の数は、数え方や調査の年によって大きく異なるため、この記事では記載していません。






当ブログで紹介している系統の神社
ご祭神の多くは『古事記』にも登場する神さまです。神さま同士のつながりは「古事記の神様の系図」でまとめていますので、あわせてどうぞ。
④本殿の建築様式で見る神社の種類|神明造・大社造・流造など
神さまがお鎮まりになる本殿の形にも種類があります。神社本庁は、屋根の棟と平行な側に入口がある「平入(ひらいり)」の神明造系と、三角形の妻側に入口がある「妻入(つまいり)」の大社造系の2つに大きく分けています。
| 様式 | 特徴 | 代表例 |
|---|---|---|
| 神明造(しんめいづくり) | 切妻・平入。反りのない直線的な屋根に、千木・鰹木。棟を支える棟持柱があり、檜の素木造り | 伊勢神宮 |
| 大社造(たいしゃづくり) | 切妻・妻入。正方形の平面で、中央に心御柱が立つ | 出雲大社 |
| 住吉造(すみよしづくり) | 切妻・妻入。前後二室からなる独特の平面 | 住吉大社 |
| 流造(ながれづくり) | 切妻・平入。正面側の屋根が長く伸びて庇(向拝)になる。最も多い様式 | 上賀茂神社・下鴨神社 |
| 春日造(かすがづくり) | 切妻・妻入。正面の階段を覆う庇がつく。流造に次いで多く、近畿地方に多い | 春日大社 |
| 八幡造(はちまんづくり) | 切妻・平入の建物が前後に2棟つながる | 宇佐神宮・石清水八幡宮 |
| 日吉造(ひえづくり) | 正面と両側面の三方に庇をつけ、背面だけ庇がない珍しい形 | 日吉大社 |
| 権現造(ごんげんづくり) | 本殿と拝殿を「石の間」でつないだ形 | 日光東照宮・北野天満宮 |
中小規模の神社の本殿は、大半が流造か春日造だといわれています(國學院大學『神道事典』より)。近くの神社を訪れたら、本殿の屋根の形や入口の向きをじっくり見てみてください。
このほか、美作国一宮・中山神社(岡山県津山市)の本殿は「中山造(なかやまづくり)」と呼ばれ、美作地方の多くの神社のお手本になったといわれています。千木や鰹木など、屋根の上の飾りにも注目してみてください。

神社とお寺の見分け方
「ここは神社?お寺?」と迷ったときは、次のポイントを見てみましょう。
| 神社 | お寺 | |
|---|---|---|
| 入口 | 鳥居 | 山門 |
| お祀りしているもの | 神さま(ご祭神) | 仏さま(ご本尊) |
| 主な建物 | 本殿・拝殿 | 本堂 |

ただし、神仏習合の名残で、お寺に鳥居がある例もあります。たとえば大阪の四天王寺には石鳥居が立っていますし、愛知の豊川稲荷は「稲荷」とつきますが、曹洞宗のお寺(妙厳寺)です。参拝の作法は「神社参拝のマナーと流れ」で詳しくご紹介しています。
まとめ|神社の種類を知ると、神社めぐりがもっと楽しくなる
日本の神社の種類を、4つの切り口でご紹介しました。
- 社号…「神宮」は皇室とゆかりの深い神社。「大社」はもともと出雲大社だけの社号
- 社格…一宮は旧国でいちばん格式の高い神社。旧社格は昭和21年に廃止
- 系統…八幡・神明・天神・稲荷の神社が特に多いとされる
- 建築様式…神明造・大社造・流造・春日造など。いちばん多いのは流造
参拝の前に、神社の名前やご祭神、本殿の形を少し気にしてみるだけで、神社めぐりの楽しさがぐっと深まります。神社の役割や境内の見どころは「神社巡りの楽しさ倍増!知っておきたい歴史・役割・マナーガイド」、御朱印の基本は「御朱印集めの魅力や歴史、マナー」もあわせてご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。それでは、また次の御朱印の旅で!

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