道案内を終えた猿田毘古神が比良夫貝に手を挟まれて海に沈む最期と、海鼠の口が裂けている理由。猿女君という名の由来までを、おばあちゃんと孫の会話で読み解きます。
🐚🐟 猿田毘古神の最期と海の掟

「ばあちゃん、猿田毘古神って、どんな神様なん?」



「猿田毘古神はな、天孫降臨のときに、道案内をした神様や。大きな体で、顔も真っ赤やったんやて。そやから、邇邇芸命が天降りする道をちゃんと導いてくれたんや。」



「へぇ~、その猿田毘古神って、なんでそんなことしてくれたんやろ?」



「それはな、彼も天つ神の御子が降りてくることを聞いて、それを迎えようと思ってやってきたんや。ほんまにお人よしで、ええ神様やったんやで。」



「猿田毘古神、すごいなぁ。でもその後、何があったん?」



「猿田毘古神はな、海で漁をしとったときに、比良夫貝に手を挟まれて、海に沈んでしまったんや。そのときのことを『底御魂』って呼んでるんや。」



「えぇ!?沈んだんか…それでどうなったん?」



「海の底に沈んだ猿田毘古神やけど、彼の魂が海水と共に上がってくるとき、その名は『つぶたつ御魂』、泡が弾けるときには『あわさく御魂』って呼ばれてて、今も魂として海に存在してるんやで。」



「そんなことがあったんか…。でも、そのあと何があったん?」



「天宇受売命は、猿田毘古神を送り届けてから、海の魚たちを集めて、『おまえら、天つ神の御子にお仕えするか?』って聞いたんや。みんな『お仕えします』って答えたんやけど、海鼠だけが答えんかったんや。」



「それで、その海鼠どうなったん?」



「天宇受売命はな、『この口は答えん口か』言うて、海鼠の口を小刀で裂いたんや。それが今でも海鼠の口が裂けとる理由なんやで。」



「それ、めっちゃ怖い話やなぁ。でも、なんでそんなことしたんやろ?」



「それは、神様に逆らうことが許されへんからやろな。そやけど、猿女君たちは、猿田毘古神の名前を受け継いで、代々祭りを守ってるんや。それに、志摩国からの初物の魚介類は、彼らに分かち与えられて今も大切にされてるんや。」



「なるほど、だから女君っていう名前が残ってるんやな!」



「そうや。昔の話には、今に繋がるいろんな意味があるんやで。猿田毘古神も天宇受売命も、それぞれの役割を果たして日本の神話に深く関わってるんや。」



「ほんまに面白いなぁ。もっとこういう話、聞きたいわ!」
今日のかみさま
| 名前 | 読み方 | 役割 |
|---|---|---|
| 猿田毘古神 | さるたひこのかみ | 天孫降臨の道案内をした神様 |
| 天宇受売命 | あめのうずめのみこと | 海の魚たちに天つ神への奉仕を問うた神様 |
| 猿女君 | さるめのきみ | 猿田毘古神の名を受け継ぎ祭りを守る一族 |
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