「ばあちゃん、ほんで大国主(おおくにぬし)は、最終的に国をどうしたん?」
「大国主な、最後は国を天つ神(あまつかみ)に譲るって決めたんや。でもな、ただ国を渡すだけやなくて、自分の住む場所をちゃんと確保してほしいって頼んだんや。」
「ほぅ、それってどんな場所?」
「それがな、地底にある磐石(ばんじゃく)に宮柱(みやはしら)を太く立てて、大空には千木(ちぎ)を高くそびえさせた立派な神殿や。そうすれば、大国主は幽界(ゆうかい)に隠れて住むと約束したんや。」
「幽界に隠れる…か。神様も自分の隠居場所を考えてたんやな。」
「ほんでな、大国主は自分の子供たち、百八十神(ももやそかみ)も一緒に行くって言うたんやけど、事代主(ことしろぬし)がしっかりお仕えすれば、背く神はおらへんて話になってな。」
「事代主、やっぱり信頼されてるなぁ。」
「せやねん。それで、出雲の小浜(おばま)に神殿を建てて、水門(みなと)の孫、櫛八玉(くしやたま)が料理を奉る役目を負ったんや。」
「櫛八玉?それってどんな神様なん?」
「櫛八玉は料理の神様やな。鵜(う)になって海底に潜り、粘土を取ってきて、平たい土器を作ったり、海藻で火を鑽(ひき)り出したりして、神様のために料理を準備するんや。」
「神様に料理奉るって、なんかすごい光景やな…。」
「ほんでな、その櫛八玉が鑽り出した火で、神々の御殿の煤(すす)が盛んに焚かれてな、地底の磐石にまで届くほどに焚き固められたんや。魚もいっぱい捕れて神々に献上されたんやで。」
「すごいな…その火は特別なもんなんやな。」
「そうや。神聖な火やからな。それで建御雷(たけみかづち)は、高天原(たかまのはら)に戻って、大国主の国譲りが無事に完了したことを報告したんや。」
「これで葦原中国(あしはらなかつくに)は天つ神のものになったんやな…。ばあちゃん、日本の神話ってほんまに壮大やなぁ。」
「せやろ?この国譲りの話は、日本の歴史にもつながる大事な物語やねん。こうして、天つ神が国を治めることになったんや。」
「神様同士のやり取りが、今の日本にも影響してるって考えると面白いなぁ。」
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